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【読書】異世界転生モノの始祖?『十二国記』に見る人間の業と希望

 

今日は、今読んでいる小説『十二国記』の『白銀の墟 玄の月』について。
考えてみると、いわゆる異世界もののはしりが『十二国記』シリーズだと思う。
私は、異世界転生モノを、あまり抵抗なく受け入れることができたのもの、先にこのシリーズを読んでいたおかげだろう。

 

投稿サイト「小説家になろう」から始まったとされる異世界転生というジャンルはたくさんの小説が排出されている。『無職転生』『転生したらスライムだった件』『盾の勇者の成り上がり』など、アニメ化されたものも多く、中には映画化されたものまである。アニメ化に伴い、日本だけではなく、海外でも「イセカイ」としてジャンルが確立されるほどになった。その礎を作ったのが、この『十二国記』シリーズだと思っています。

 

では、『十二国記』はどんな内容なのか?

ストーリーとしては、日本人の高校生である陽子が、麒麟に王として指名され、十二国記の世界に渡り、王として成長していく姿を描いている。陽子はもともと十二国記の世界で生まれるはずだったのだが、自然災害のせいで、現代日本に生まれてしまうのだ。だが、麒麟に王として元の世界に連れ戻され、見知らぬ世界で様々な騒乱に巻き込まれていくのである。異世界に強制召喚されるような形である。

 

十二国記』の世界は、神の理が完全に支配している。世界には、12の国があり、各国の王は神獣である麒麟が指定する。王は、不老となり何百年も国を統治するというシステムが存在する(首を切られたりすると死ぬとされている)。そして、他国に侵略してはいけないと定められており、ずっと12の国が続いているというのだ。これらの国々は、神が選んだ人間が国を治めるわけで、一見すると理想的な政治が行われそう。さらに、男性と女性がいる世界ではあるが、なんと子どもは木から生まれてくる。夫婦が祈ると、子供が気に成るのだ!だから今話題の性犯罪も起こらない。そこまで考えて作者は、この世界の設定を作ったのだろうか?

 

しかしである。

神が定めた素晴らしい人物が国を治め、国家間の戦争はなく、男女の問題も発生しない。こんなシステムをもってしても、『十二国記』の世界は混乱している。

 

『白銀の墟 玄の月』では、とくにその傾向が顕著。麒麟が選んだ新たな王が政治を始めたにも関わらず、新王は反逆にあい、行方不明になり、国は荒れ果てる。残された者たちが、王を探し国を再興する物語なのだが、正直言って人間のネガティブな側面を見せられるところが多い。それは妬みだったり、自分勝手さだったりする。加えて、この本の騒動の根本を引き起こしたのが、個人的な知的好奇心だというのが、ちょっと信じられないくらいだ。

 

ただ、それでもなぜか読み進めてしまう不思議な魅力がある本。読んでいると、独裁政権というシステムの危うさがよくわかり、民主主義の良さもわかってくる。そして、神についても自然と考えさせられるのだ。王がどんなに良い人物だったとしても、長きに渡りそれを維持し続けることができるかはわからないうえ、政治や軍事を司る人々にも、様々な思惑があり、理想的な政治を行うことは困難だ。先ほども書いたが、『十二国記』の世界では、他国を侵略することが不可能なシステムが神によって敷かれているので、国家間の戦争はない。それでも、平和な世界は実現していない。なんともやるせない気持ちになるが、中には500年以上善政がしかれ平和な国もあるし、混乱する世界の中で、希望を失わず苦しむ人々のために生きる人も描かれているのが、読む人に希望を抱かせるのではないだろうか?

 

物語の大半が暗いのだが、読み終えるころには、なぜか希望が湧いているようなシリーズ。累計1000万部は伊達じゃないなと思う。面白そうと思ったら、ぜひ読んてみてほしい。

 

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