
「感謝の気持ちを忘れずに」
この言葉、まるで呪文のように、私たちは子どもの頃から何度も耳にしてきましたよね。学校で、家庭で、そして社会に出てからも。感謝することが素晴らしいのは、もう百も承知。頭ではよく分かっているはずです。
でも、ちょっと胸に手を当てて考えてみてください。
本当は心の底からそう思っていないのに、なんだかその場の空気で「ありがとうございます!」なんて、口先だけで言っちゃった経験ってありませんか?私は、結構覚えがあります。なんかもう、口ぐせのように「ありがとうございました」って口に出してるけど、気持ちがこもってないことが(汗
上司に理不尽なことで注意されたけど、とりあえず「ご指導ありがとうございます」。
本当は全然嬉しくないプレゼントをもらったけど、満面の笑みで「わあ、ありがとう!」。
これって、いわゆる「形だけの感謝」ですよね。まるで条件反射のように、あるいは波風を立てないための処世術のように、「ありがとう」という言葉が自動的に出てきてしまう。
「感謝できない自分」はダメなのか?
誰だってその時々でいろんな感情が渦巻いています。嬉しい時もあれば、悲しい時もある。腹が立ってどうしようもない時だってある。だから、時と場合によっては、どうしても「ありがとう」なんて気持ちになれないことだって、きっとあるはずなんです。
例えば、明らかに相手に悪意を感じるようなことをされた時。
例えば、自分の努力が全く認められず、不当な評価を受けた時。
例えば、心身ともに疲れ果てて、誰かの親切さえも重荷に感じてしまう時。
そんな時、無理に「感謝しなきゃ」と自分に言い聞かせても、なんだか心がギシギシと悲鳴を上げるような気がしませんか? そして、そんな自分に対して「感謝もできないなんて、私はなんて心が狭いんだろう…」なんて、自己嫌悪に陥ってしまったり。
でもね、ちょっと待ってください。
感謝できない自分がいたって、いいじゃないですか。
だって人間だもの。
そんな自分に、まずは「そっか、今はそう感じているんだね」と、優しくOKを出してあげてほしいのです。
幸せへの近道は「自分に嘘をつかないこと」
私たちが幸せな人生を送るために、本当に大切なことって何でしょう? いろんな考え方があると思いますが、私は「自分に嘘をつかないこと」が、すごく大きなポイントなんじゃないかと思っています。
無理に「良い人」を演じようとしなくてもいい。
いつもニコニコしていなくてもいい。
時には怒ったり、落ち込んだり、誰かを羨んだり…そんなネガティブな感情を持つ自分がいたって、それでいいんです。だって、それが人間らしい、自然な姿です。
感謝の気持ちも、それと全く同じ。
心の奥底から、じんわりと温かく湧き上がってくるもの。それが本当の感謝です。誰かに強制されたり、「こうあるべき」という義務感から絞り出したりするものではないはず。
「感謝しなさい」と言われて、「はい、感謝します!」と簡単に切り替えられるほど、私たちの心は単純ではありませんよね。
無理やり感謝するより、ずっと大切なこと
「感謝できない自分はダメだ」と責める代わりに、
まずは自分の素直な感情を認めてあげる。
「今は、ありがとうって思えないな」
「なんだか、モヤモヤするな」
それでいいんです。その気持ちを無視したり、無理やりポジティブな言葉で上塗りしたりする方が、よっぽど心に負担をかけてしまいます。不思議なもので、そうやって自分の正直な気持ちを一旦受け止めてあげると、ふとした瞬間に、本当に自然な形で感謝の気持ちが湧き上がってくることがあるんです。
あんなに腹が立っていた相手の、意外な一面を知った時。
時間が経って冷静になった時、「あの経験があったからこそ…」と思えた時。
誰かのさりげない優しさに、心がじんわりと温まった時。
それは、無理やり「感謝しなきゃ」と力んでいた時には決して生まれなかった、本物の感情。だから、もし今、あなたが誰かや何かに対して「ありがとう」と言えない自分に悩んでいるとしたら、まずはそんな自分を優しく抱きしめてあげてください。
「感謝は義務じゃない。心が自然にそう感じた時に、伝えればいいんだよ」って。
その方が、ずっと心が軽くなって、いつか本当に温かい「ありがとう」が、あなたの心から溢れ出す日が来るはずですから。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。